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適正在庫のテクニック

適正在庫のテクニック

~すぐに実践できる現場のための在庫理論APIM~

著者 勝呂隆男
ISBN 4-526-05629-4 C3034
出版社 日刊工業新聞社
出版年 2006年3月
定価 2,000円(税別)
好評につき2014年9月第8刷決定

適正在庫テクニックの実践的な解説書。基本的な考え方からマネジメントレベルの改革手法まで、具体的な手順をわかりやすく説明している。エクセルを使って適正在庫を簡単に計算する方法も一章を割いて解説している。好評既刊書「適正在庫の考え方・求め方」と「適正在庫のマネジメント」を基に、工場管理誌に連載した「在庫適正化テクニック」を修正・加筆して書籍化。新しい在庫理論APIMについても、最新の研究成果をより詳細に紹介している。適正在庫3部作の集大成ともいうべき決定版である。

好評既刊 「適正在庫の考え方・求め方」 「適正在庫のマネジメント」 「適正在庫の定め方・活かし方」 と併せての「ザイコ4兄弟」をよろしくお願いします。
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はじめに

 本書は、日刊工業新聞社発行「工場管理」誌に連載した(2005年5月号~2006年1月号)「在庫適正化テクニック」を基に編纂されたものである。
 好評をいただいている既刊書「適正在庫の考え方・求め方」、「適正在庫のマネジメント」を基に、より実践的な技術を具体的に解説することを目的に執筆した。従って前著、前々著からの引用が何カ所かあるが、この本の構成に従って読み直すことで新しい見方を発見することができる。より実践的な技術を紹介するために、PCを使って計算することを前提としている。実際に適正在庫を計算して在庫適正化を実現するためには、エクセルとその上で動作するAPIMソフトウェアの利用が必須となる。そのために、APIM理論とそのソフトウェアの解説・紹介にも多くの部分をさいている。
 第4章までの前半部分では基礎理論と手法を解説し、後半では最新の適正在庫理論APIMとその技術を解説・紹介した。最終第10章は、連載終了後に加筆したもので、APIM理論の背景とソフトウェアの機能紹介を記した。連載時から大きな反響を呼び、電子メールなどで数多くの激励やお問い合わせを頂いた。学会の会合や講演会、発表会などの場で、直接激励されたことも何回かあった。「これまでにない画期的な内容である」、「きわめて体系的にまとめられている」等々、うれしい励ましをいただきながら頑張って連載を続けた結果をまとめたのが本書である。
 サプライチェーンマネジメントやロジスティクス、生産管理の企画や実務に携わる方々の一助となれば幸いである。また、経営工学やORを学ぶ学生の参考書としてもご活用頂きたい。

2006年1月
勝呂 隆男

目次

 はじめに

第1章 在庫ゼロから適正在庫へ
1.1 在庫はゼロにできるか?
1.2 在庫が必要とされる理由
   1.2.1 時間を稼ぐために在庫を持つ
   1.2.2 バッファーとして在庫を持つ
   1.2.3 負荷平準化のために在庫を持つ
1.3 適正在庫という発想
 COLUMN VMIはサプライヤーへの押しつけだ!

第2章 在庫基準値で管理する
2.1 「在庫一律半減!」は無茶苦茶な方策
2.2 在庫基準値にどんな値を設定するか
   2.2.1 発注点
   2.2.2 安全在庫
2.3 在庫適正化のメカニズム
  2.3.1 発注時期による調整
  2.3.2 発注量による調整
  2.3.3 キーは安全在庫
2.4 在庫基準をどう活用するか
  2.4.1 現状の在庫水準の評価・見直しに
  2.4.2 在庫削減目標の設定に
  2.4.3 発注点として
  2.4.4 断食の基準値に
  2.4.5 改善効果の見積りに
  2.4.6 取引先との調達形態・単価の見直し用資料として
2.5 基準値のメンテナンス
 COLUMN 納期遵守率向上と在庫削減

第3章 安全在庫の求め方
3.1 安全在庫と発注点
3.2 安全在庫の求め方
3.3 リードタイム中需要量の標準偏差
   3.3.1 リードタイム中需要量
  3.3.2 リードタイム中需要量の変動
  3.3.3 リードタイムの変動
3.4 定期発注方式の場合
3.5 許容欠品率の考え方
 COLUMN 在庫は上流に

第4章 エクセルによる適正在庫の計算手順
4.1 適正在庫計算のポイント
4.2 適正在庫の計算手順
4.3 まとめ
COLUMN 需要分布を正規分布で考えていいか

第5章 新しい在庫理論APIM
5.1 安全在庫の理論は本当に使えるのか?
5.2 APIMの基本的考え方
  5.2.1 実効リードタイムにより未来在庫に対応
  5.2.2 リードタイム変動に対応
  5.2.3 間欠需要に対応
5.3 APIMソフトウェア
5.4 APIMと古典理論の違い
  5.4.1 部品調達の例
  5.4.2 納期遵守率を上げる場合
  5.4.3 間欠需要の場合
5.5 APIMの拡張機能
 COLUMN 在庫理論とAPIMの適用事例

第6章 需要予測と適正在庫
6.1 発注点、発注量、安全在庫と需要予測
  6.1.1 発注点、発注量と需要予測
  6.1.2 安全在庫と需要予測
  6.1.3 需要予測誤差をどうとらえるか
6.2 APIMの手法
  6.2.1 予測誤差率に基づく安全在庫
  6.2.2 計画実効リードタイムの適用
  6.2.3 サイクル内需要分布
  6.2.4 安全在庫算出例
 COLUMN 三菱化学におけるAPIM・適正在庫シミュレータの開発と適用事例

第7章 リードタイムのかぞえかた
7.1 リードタイムの定義と分類
  7.1.1 リードタイムの定義
  7.1.2 リードタイムの分類
7.2 実効リードタイムの考え方
7.3 リードタイムは分布で考える
 COLUMN 第18回ICPR(イタリア)参加報告

第8章 生産形態と在庫管理方式
8.1 生産形態の分類
8.2 在庫管理方式の分類
  8.2.1 不定期定量発注方式
  8.2.2 定期不定量発注方式
  8.2.3 不定期不定量発注方式
8.3 生産形態別の在庫管理方式
  8.3.1 受注設計生産
  8.3.2 受注調達生産
  8.3.3 受注生産
  8.3.4 受注組立生産
  8.3.5 見込生産
 COLUMN 帝人グループのAPIMを活用した在庫適正化への取組み

第9章 適正在庫のマネジメント
9.1 改善戦略と在庫適正化3アプローチ
9.2 生産管理アプローチ
  9.2.1 リードタイム短縮
  9.2.2 需給調整機能の高度化
  9.2.3 適正在庫基準の設定
9.3 営業・物流アプローチ
9.4 設計改善アプローチ
 COLUMN 東芝テックにおけるMFP用現像剤の適正在庫算出システムAPIM使用事例

第10章 APIM
10.1 APIM理論の基礎
  10.1.1 適正在庫理論の原点
  10.1.2 需要分布の選択を改良する従来研究
  10.1.3 未来在庫対応
  10.1.4 変動リードタイム
  10.1.5 間欠需要
  10.1.6 需要予測誤差
10.2 APIMソフトウェアの機能紹介
  10.2.1 APIMソフトウェアの構成
  10.2.2 基本APIM関数
  10.2.3 APIM基本関数の引数
  10.2.4 APIMエンジニアリング関数
10.3 APIMシステム開発例
  10.3.1 適正在庫算出ワークシート
  10.3.2 適正在庫シミュレーションシステム
 COLUMN 日常生活の中の適正在庫テクニック

 おわりに

 索引

おわりに

本書では、多すぎず少なすぎない適正量の在庫をキチンと保有することの重要性とその実践的なテクニックを紹介した。
今日の工場管理における主要テーマのひとつに、変動する需要や生産環境にいかに対応していくかということが挙げられる。この課題への対応としては、変動や不確定性そのものを小さくする努力と、どんな変動が来ても対応できる対応力をつける努力の2つの方策が必要不可欠であろう。
しかし、昨今の生産革新の風潮を見ていると、2番目の変動対応力を強化する方策だけに注目が集まり、変動そのものを緩和する方策の必要性がおざなりにされているように思える。更に、変動対応力の強化を自社の負担で行うのでなく、派遣業者やサプライヤーへのしわ寄せだけで実現しようとする傾向も見られる。顧客起因の変動や内部変動を、そのまま下請け業者に外出しして対応するような態度からは、真の問題解決の途は開けない。トヨタ生産方式の重要な柱のひとつに“平準化”があるが、この努力を怠って現場の変動対応力強化のみを目指すのでは、いずれ、巡り巡ってのコストアップや品質悪化に苦しむことになる。
生産システムの全体最適実現には、どんな変動が来ても対応できるようにする変動対応力強化策だけでなく、変動そのものを小さくする平準化も含めた、両方の方策を追求しなければならない。生産管理面からのアプローチと現場改善からのアプローチのどちらも欠かせないものなのである。
適正な在庫を保有して生産管理を合理的に行うことは、この意味での平準化方策のひとつであり、適正在庫を基点にしたマネジメント手法にまで拡張することで、生産システム最適化のための重要な考え方となる。今回紹介したテクニックを基に、読者の工場で独自に編み出された様々なテクニックやノウハウが生まれ、サプライチェーン全体の最適化までつながることで、企業間取引の適正化にまで発展することを期待している。

連載時から、APIM適用事例紹介原稿の作成にご協力頂いた方々に御礼申し上げたい。三菱化学 藤田薫氏、帝人クリエイティブスタッフ 春日井晃一郎氏、東芝テック 木下航氏には、非常に興味深い活用事例をご紹介頂いた。特に、藤田氏にはAPIMの初期リリース段階からきめ細かで適切なご指摘を多数いただき、APIMソフトウェアの改善に多大な貢献を頂戴した。APIM育ての親とお呼びしたくなるほどである。
第10章のEPPEN論文の妥当性確認では、愛知工業大学教授の大野勝久氏に専門的なご指導を頂いた。ここに感謝致します。
長期の連載に際しては、工場管理編集長の矢島俊克氏と美研クリエイティブセンターの加古邦明氏に多大なご支援をいただいた。さらに、センスあふれるイラストの作者、神林光二氏には、難しい技術解説をわかりやすくかつ親しみの持てるものにして頂いただけでなく、筆者に毎月の楽しみを与えて頂いた。神林氏のイラストを待つことで、締切に追われる執筆作業の苦しみが幾分かは楽しきものとなった。
最後に、毎月読者の視点からアドバイスをし、かつ励ましてくれた妻佐代子に心より感謝する。

2006年1月
勝呂 隆男

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